ヤフー辞書には、彼と彼女から聞いた演劇的な意味合いは載っていなかった。
青写真、と載っていたけど、もう少しあやふやなことのように思えたし、
彼の口からでるその言葉は、舞台稽古とか芝居における
そのニュアンスをすごく的確に発音したように思う。
音がいい。
ほんとは彼や彼女の朗読を聴いてみたい。
濃密な時間を邪魔してしまうようでお願い出来ないけど。

ぽたり。

ひとつの言葉を置いてみる。
蛇口や涙、手のひらがゆっくりと覆いかぶさる数秒、
水たまりに木の葉が落ちる場面を見てしまった、
真っ暗で何も見えない時はだかで隣に居る人に何か言った時、
言葉がその隣人の心臓にぴたりと届いてしまった時の様子。

コトリンゴさんの「ふたり」という曲を聴いているのだが、
おおはたさんがコーラスや、
一回も見たこと無いけどどーやらパーカッションもしているらしく、
まぁ、素敵な曲です。あとハンドクラップもしてる。

ラララーラ。

そういうの、合わせてみたくなったりするじゃないすか。
楽器が出来なかったら、ハミングでも。

反応、とか言われるんだろうけど。
エチュードはもっと自発的なものなんか?
まあ、勝手に書いてる勝手な解釈。
うわ、本谷さん思い出す。愛情を込めて。

ドキュメント的に見えても、ちゃんと編集や演出やスキルがあって、
写真表現における「ナチュラルにしてください」って実は
一番舞台的な演出だよねー、なんて思う。
難しいんよ、「普通にしてください」の「普通にするって?」ってことは。

ルーマニアでムービーをまわしてる時、
なまじ一眼レフカメラの形をしてるもんで、
(5Dmk2の動画モードで撮影)、
フレームインして「はい!ドラマ起こしてよ!」って時に大概の
皆様はピタッと止まってしまい、記念写真モード。
ほんと5秒まわすのがツライ。
言葉もわからんし、手ブレしながら踊ってみたり
(たまに合わせて踊ってくれる人がいる)、
ルーマニア語やハンガリー語の「可愛い!」を連発してみたり。

普段とても静かに撮影するので、
こんなに「動けよ!」ってなんか面白かった。

日光移動教室のバス後ろ席の方に座っていたので、
前列でクラッシュした友達のゲロが座席脇の床づたいに流れてきて、
おえっぷとなっていく私を真ん中通路できちんと撮っていれば、
撮り手目線ではフレームの中で人が動いて、躍動して、
さぞかしご満悦だろうさ。ゲロだが。

写真を撮ったり、人とお酒を飲んだりしていても、
すごく静止した世界の中で過ごしているような気にもなる。
悪いわけじゃぁない。むしろ楽しい。

大気圏外にジャンプするか、あるいは、
マントルの中心で回転のないところに佇むか。

こういうのを青春というんだろうか(笑)。

きっと自転と同じように自分も回転してるから静止感を思うんだ。
ならば止まってみせような!

ラララーラ。

僕らは宇宙的に見たら秒速29kmくらい(分速だか忘れた)、
回転してる地面と同じ速さで回っているらしく、
そう思うと、一方向だと思っていた過去や未来も、
もっと貝殻のように螺旋構造かもしれないね。
縦方向に横方向の力が加わって、
ぐいぐいと押し出されることをちょっとイマジネーションできるかも。

月の力、じゃねえか、引力って6分の一でしょ。
でも貝殻をぐんぐん引っぱられて、満ち潮があって、
多少ルナティックでしょう。狼男でしょう。

そして、唐突に私的エチュードが終わる。

ポタリは狼へ至る。

間に地球とマントルを挟みつつ。

あ、キレが悪い。いっか、日記だし。

あぁ。
ピントも合わなければ、トピックもない。
焦点もない。

何もない写真てすごいと思う。
上目線ではなくて、よく知ってる人で、そういう写真を撮る人がいて、
その人の写真のすごさにコンプレックス故の台詞。
ただ何も無くてありそうな写真家や写真好きのことでなく、
大森克己さんの、写真編集の凄さというか。もはや禅問答。
何かある、「何かあって欲しい」の向こう側よ。
いったい何が見えているのか、想像もつかん。
「サナヨラ」って感じよ。「ファンキー烏龍茶」って感じよ。

飲んでる時以外は、午前2時を過ぎると街が停まってる気がして、
もう何も動かなくて、苛まれなくて、ロマンティックもまったくなくて、
ニコチンで床がベトベトになって、
2週間にいっぺんくらい一休さんくらいFLOWリング全力疾走して、
古いTシャツを切ってぞうきんにして、前傾でえいやっと磨いても。

大分昔の440のセッションナイトでちょうど2時を過ぎたくらいに、
金子マリナイトの打ち上げ終わりのインベーダーズが下北を歩いてて、
おおはた君達が呼び止めて、
大層かき鳴らして帰って行った。

それはそれはすごかった。お前ら、ほんとにベロベロなん?
噂に聴いてたケンケンはこんなやったんや!とね。
mayちゃんも一緒に聴いてた筈さ。


「我々は、インベーダーズだ」


ケンケンのお兄ちゃんになるんかな、金子統昭(同じくRIZE)さんが主演の
「スイート・スイート・ゴースト」はとても繊細な映画と立ち位置で、
俺は仕事でRIZEのライブ撮影が来た時に、
今までそんな音楽の撮影したことなかったので、
とりあえずモッシュやダイブに突っ込んで行って、
連射モードでファインダー見ないで撮ってみたが、
天井照明と暗い床しか写ってなかったとさ。

金子さんの役はダブル主演の主人公の親友。
交通事故で死んでから遺品の財布の中に、
主人公とヒロインを金子さんが撮ったシーンの大分あとに、
ツーショットの写真の半分を切って、
ヒロインの顔のアップだけの切り抜きが挟んであったという。

小4の頃好きだった隣クラスの千代ちゃんの(芸能人になった!)写真が欲しくて、
でも廊下に貼られたスナップから選ぶのは気が引けて、
隣クラスの集合写真(40人)を400円(スナップは100円)で買って、
千代ちゃんだけ切り抜いたら、5mm×5mmくらいで、
よっぽど直に見た方が満悦だった。

さて。

ジプシーのことを一夜漬けながらも調べて、少しだけ関わって、
10月大半を普段自分が過ごしている場所から離れて戻ってみて
はたまたNYで普段通りツメが甘く飛行機に乗り過ごしてみたりして。

経験は、
変わらぬ自分が確かにここに居るね、という確認作業のためにあるのかもしれません。

ただ、自分の思っていた自分の感情や認識の辺境、
ナウシカで言えば風の谷のような、一歩飲み込まれれば腐界とかエヴァンゲリオンが、
全然我が日常であり、昨日訪れてくれた最愛のようのものと大差ないことに対して、
確信的になり得るかもしれませんね。

知らないことなんか、一個もねぇぜ。
沢木耕太郎的には、自分の中にある地図を塗りつぶす作業なのかもしれません。

ルーマニアでは雪が降りました。
ルーマニア的にこの冬初雪で、
知らない世界が多いわたくしにとっても、今期初雪です。

ウィンタータイムになったルーマニアでは時差は確か7時間。
つまり、ジャポネでいつか降る初雪より、約7時間分私の初雪です。

わたしはいま、焦点がまったくなくて、
だからこそ人の世の全てを放り込めるような、
そんな写真が一番素敵だよね、
と思っている10月の一番最後を日本酒で閉めています。

隙間で島根(出雲)に行って、奴が撮って来てやと言った夕暮れを狙いたいっす。

神懸かり、いつか、僕たちのもとへ訪れて下さいよ、
旧暦10月下旬から12月が神在月。そこではね。

行くぜ。




ルーマニアの雪




ニューヨーク  クレジャニ  トウキョウ

今日おおはた雄一君の「TOKYO SONGBOOK  2009秋」に行って来た。
エゴラッピンの中納良恵さんがゲスト。かなり良かった。
ほとんど全部のSONGBOOK行ってるが、その中でもずば抜けてたかも。

NYのマジックショップスタジオに行った時、雄一君とマネージャーのいくみちゃん、
それと、プロデューサーであるジェシー・ハリスとリチャード・ジュリアンの
日本側窓口の会社スタッフである石坂さんが渡米していた。
石坂さんとはNYで初対面。

この会社はジェシー達と共に、
タラフ・ドゥ・ハイドゥークスのマネージメントもしていたので、
NYで最初の晩に飲んだ時に11日からルーマニアに行くことを告げ、
「ルーマニア・・・ジプシー・・・音楽・・・」と言うと、
「もしかしてタラフ!?」と言われて、「そうなんすよ!」と。

ほんでルーマニア行ってクレジャニ行ってタラフのメンバーと話していると、
「ケイコが日本に俺たちを呼んでくれてる」と「ケイコ、ケイコ」と何度も出てくる。
「ケイコを知っているか?」と。
東京だけで1千万人くらい人居るんですけど・・。

ほんで日本帰って渋谷行って、終わって楽屋遊びに行ったら、
石坂さんも来ていて「社長、この人一昨日までクレジャニ行ってたんですよ!」と。
「あのー、多分そうだと思うんですけど、もしかして、ケイコ、さんですか?」と僕。

やっぱりね、言葉わからんから聞かなかったけど、
多分石坂さんの会社のお偉いさんだと思ってた。「ケイコ」。
かくして、「ケイコ」さんとお会いしてしまう。

距離にしたら何千キロ離れてるか見当もつかんけど、
個人的な話題としてはここ二週間で踏みしめた国が繋がってしまうという。

不思議なものですなぁ。


写真はマジックショップスタジオで、
「決別の旗」のミックスを見つめるリチャード・ジュリアン。IN NY。

リチャード01


ジプシー。



ジプシー01




カリュ。



カリュ(モノクロ)


帰国、映像編集会議、ローゼスということで、
このままミッドナイトに合わせて酔い、きっと明日からは日本時間。
どこを見回しても我が家。
机上、ゆみちゃんの飲み残しのウーロン茶が、帰ってきたのだな、
と追いかける。問いかける。

今、「ラッチョ・ドローム」を見返していたら、
しゅんちゃん、俺気づかなかったよ。
タラフの章、チャプターの最初から見たら、一昨日の晩、
ガレージで聴いたあの曲、ニコラエが樹の下で弾いてた、
チャウシェクスクの革命の歌だったよ。
映画だとニコラエが歌ってる。
もう死んでて、
ニコラエの墓標だと言われて、
撮ったら全然他人の墓だったあのニコラエが歌ってる。

「生きた時間が戻ってきた。自由に生きられる時間が」

服と指輪を奪っていった(であろう)僕らが二泊した家主、ファルカオも、
一瞬で雰囲気を台無しにしてくれたマリウスも奏でてる。

皆太って老いていたけど、映画の中に入り込んだ奇妙な時間だった。
映画の中で奇麗に奏でてるけど、全然奇麗じゃなかった。
綺麗ということでもなかったけど、臭くて、汚くて、汗みどろだったけど、
音楽は一種の欲望なんだと納得がいったかもしれません。

近親相姦しすぎて体が歪な子供が沢山いた村、
二日目のヘテの村では、威嚇で斧を振りかざされたっけ。

タバコを一本くれと言われて、一箱上げると二本返してくるおばさんや、
よくわからんけど「社会主義が終わって配給なくてほんと苦しい」みたいな
おじさんに「だよねー」と笑ったら
「でしょうー」みたいな笑いを返してきたり。
お前ら(ジプシー)悲しいんだか可笑しいんだか。はっきりしてくれ(笑)。

ルーマニア語を話すカリュが何を言ってるかわからんけど、
時折胸に手を当てて言う「アニマ」というのは「心」ということなんだと、
道中ずっと付き合ってくれて、
ジプシー達との底なし沼のような交渉を一手に引き受けてくれた、
トランシルバニア在住の聖子さんが教えてくれた。

繋がり合ってなんか全然ないけど、
心は新宿副都心のビル群のように歴然と建っていて、
それがどんなに小さくて窓が少ない家でも、
沢山のガラスから外光を拾う大きな集合住宅でも、
心のことを言うときには、
きっと世界中で胸に手を当ててみるかもしれません。

わたしの知らないアニマ達と邂逅した日々、
とんでもなく疲れたけど、どんなにちくしょーと思っても、
このまま一脚につけたカメラを投げ捨てて、
泣き出して抱きしめてしまいたくなる一瞬もあった。
そんな音楽をカリュだけがくれたのだ。

世界は広い、とてつもなく。
ただ、心のことに関しては、
そっと左胸に手を当てるだけですむのかもしれない。
だから、世界はとても簡単で、かなり複雑なのだ。

さんきゅーしゅんちゃん。
このまま展示会までがんばろう。
モスクワ7時間のトランジットを経て、
本日無事に帰国。

三脚と一脚を成田に忘れてくるおまけ付き。

俊介がバイオリンを二つも買いやがるので、
予想通りルーマニアでは重量オーバー。
しょうがないので俺のバックパック一個そのまま郵送にして、
カメラバックと紙袋ひとつで帰国。

バックパックがつくのは3週間後か。

パンツが無いんじゃパンツが!
仕事でいろんな人と会うようになって、
会いたかった人や好きな人でもサインをもらったことがなかった。

肝っ玉が小さいから、
サインをもらうと対等で居られなくなる気がして。
対等になれないと、写真はとても撮りにくくなる。

でも、今日カリュにサインをもらった。
中判カメラの引き蓋の、フィルム面の反対側に名前と日付を書いてもらった。

自分の大事なものに、彼の痕跡を残しておきたくて、
それでも引き蓋はシャッターを切るごとに摩擦がおきるので、いつか消える。
早く消えるように、沢山シャッターを切りたいと思った。

旅中盤から動画に集中してほとんど写真を撮らなかった。
今日、初めて「撮ったぜ!」というムービーをいくつか撮れた。

カリュのバイオリンの話はまた今度。
みんな泣いた。

「いつでもおいで。僕たちはファミリアだから」
お別れの時に彼が一言。

今日はいろんなことが起きすぎた。

6時間後に飛行機、20日に帰国します。

バイバイ、ロメニア。
フォルカオの息子さんと、タラフの長、故ニコラエのお孫さんと一緒に
ジプシー流ディスコに連れて行ってもらう。

俊介と俺。

息子さんの名前を忘れたが、可愛い嫁さんが居て、
ばっちりキメキメの途中で、「嫁さんにはセクレタ(シークレット)」と
言われた。

きっと帰った後にも何か書くと思うけど、最中の何かも何かになるかも。
横30センチで俊介が打ち上げられた人魚のようにベットに横たわっていて、
かれこれ添い寝も3日目になる。(脚と脚が触れると恋が生まれそうで怖い)

ほとんど俊介が運転してくれてるけど、都合1000キロくらいの移動で、
二日前と昨日は雪が降った。
春夏のコレクション撮影に来てるけど、
トランシルヴァニアの4月は雪が降るかも。

ロマ達と仕事をしていると、複雑な気持ちになる。
一瞬にして敵対されたり、美味しいご飯を頂いたり、
持ち物がなくなったり、ほっぺたにキスをされたりする。

広大な人類の中を「仕事」という1ワードで駆け抜けるのはとても疲れるし傲慢なことだけど、基準が出来るからこそ、簡単に「否定」ではなく取り込めるのかもしれない。
わたしたちは酒を飲んで眠くなって飯を食って、友達と家族がいる。
その「あたりまえ」の規範が拡張されて、
今回俺は写真を撮っていないけど、
戻ってみて、あたりまえが広がって、
あたりまえじゃなかったことがあたりまえに思えて、
尚かつ愛せて写真を撮れたら素敵だと思う。

ロマ達はがめつくて気分屋でうるさくて衛生的ではないけれど、
不思議で綺麗な色使いと、あと、とても良い顔をする時がある。

何を言ってるのかさっぱりわからんけど、
時々一緒に大笑いする時がある。

時々、一緒に大笑いする時があるのだ。
クレジャニ村。

タラフのファルカオの家に泊まってる。

明日のカリュの撮影が無事に終わりますように。

昨日、カリュが少し弾いてくれたバイオリンはやはりすごかった。

密な時間。

風呂に入りたい・・・。


で、何故来てるかと言うと、こんな話。

>>関係者様各位

いつも大変お世話になっております。

この度、mean Men's Lady's 2010 Spring & Summer Exhibitionを下記日程にて開催致します。

ご多忙とは存じますが、ご来場を心よりお待ち申し上げております。


※ バイヤー様はお手数ですが、ご来場日時のアポイントを事前にご連絡お願い申し上げます。





今季 2010 Spring & Summerのテーマは「Gypsy」です。

西暦1000年頃にインドのラジャスタン地方から旅立ったというジプシー。
現在ヨーロッパ全域には800万〜1000万人のジプシー(ロマ)が存在するといわれている。
インドから放浪していた彼らは虐殺、迫害、奴隷制度、そして今なお続く差別。
そんな彼らの唯一の娯楽であったのが音楽だった。
放浪民として差別されていたにもかかわらずスペインのフラメンコなどのヨーロッパ民族音楽や、
クラシックの国民楽派などに、多大な影響をあたえたジプシー音楽。
ルーマニア・クレジャニ村に世界的有名なジプシーバンド、タラフ・ドゥ・ハイドゥークスがいる。
彼らの音楽のルーツを探り、彼らの舞台衣装のイメージやトランシルヴァニア地方の奇麗なジプシー衣装、
ルーマニアの伝統的な民族衣装など東欧の古き良き時代の物を取り入れたコレクションラインとなります。
日本には親しみが無い本来のジプシーを服を通じて知って頂ければと思います。




Date : 10/27(Tue)-10/30(Fri)

Time : 10/27(Tue)-10/29(Thu) 12:00-21:00
10/30(Fri) 12:00-19:30

Place : pile cafe DAIKANYAMA 2F
sotoyama Bld.2F 1-3 uguisudani-cho shibuya tokyo

information : SPIKY Co.,Ltd
tokyu skyline apartment No,70 1-21-6 dogenzaka shibuya tokyo
TEL.03-5428-6021
       www.mean.co.jp




タラフを撮影しにはるばるっつう話っす。

クレジャニ村には16日到着予定。

俺は手伝い。メインフォトグラファーはユウミさん。

http://www.calmsea.info/

毎日いろんなことが起きて、うんざりもするが、わくわくもする。

寝よ。